背後から聞こえた声は聴いたことがある声だった。

 「泣いてないよ」

 私は、目のふちに溜まった涙が零れないように堪えた。

 「もう…我慢ならないね…」

 玲於君は、ハンカチで涙を拭いてくれた。

 小学生に拭いてもらうなんて…。

 「行こう…」

 私の手を引いて歩き出した。

 何処に?



 「邪魔する…」

 玲於君が連れてきたのは、神山家。

 「どうしたの玲於君?」

 玲於君と居ると頭に「?」ばかり浮かぶ。

 「璃音!」

 私を見つけた五人は駆け寄ってきた。

 「心配した」

 そう言って私の頭を撫でようとした空夜の手を玲於君が叩いた。

 「てめぇなんなんだよ」

 空夜が睨んだ。

 「キミなら分かるよね…お兄ちゃん…」