「璃音ちゃん、話があるの」

 神山母が私を呼んだ。

 「はい」

 豪華な個室に私と神山母が椅子に腰かけてる。

 「璃音ちゃんには、お母さんとお父さんが旅行に行くからって説明してたわよね?」

 「はい」

 「それは、嘘なの」

 う、ウソ!?

 「璃音ちゃんは、生まれた時からこの神山家と契約を結んでてね」

 契約?

 「神山家の誰かと結ばれなきゃいけないの。

 まだ璃音ちゃんに好きな人がいなかったからよかったけど、お母さんとお父さんが話してなかったなんて、私も予想外。まぁ早めがいいかなと思ってうちに呼んだの」

 …………。

 意味分かんない!

 「璃音ちゃん…まだうちの子で好きな子いない?」

 好きな人…。

 五人とも思い浮かんじゃう…。

 私ってタラシ?

 「ゆっくりでいいから、決めておいて」

 そう言って部屋を出て行った。

 「…ぅッ、ヒック・・・」

 そんな勝手に契約だなんて言われてもわかんないよ…。

 大粒の涙が次から次へと頬を伝う。

 「聞いたのか…?」

 「ふッぇ?」

 急に空から声が降ってきた。

 「目、また腫れるぞ…」

 優しく私の頭を撫でる。

 「りゅッ、龍・・・」

 優しくされたら、甘えちゃう…。

 「ッぇ?」

 「そんなに泣くなよ…」

 私は、今龍の腕の中で顔を埋めている…?

 「ま…泣きたいときは、俺のとこ来いよ…」