「璃音」

 文化祭の出し物で何をするか話合い中の時、陸玖が呼んだ。

 「なに?」

 「お前さ、あれ出れば?」

 黒板の文字を指さした。

 「無理無理!」

 その文字は、「地味子も大変身」

 「いや、出ろ」

 なんで命令形?

 「嫌」

 「ねぇ璃音頑張ってみたら?」

 「悠羽まで?」

 この間のことがあってから空夜には、会いにくい。

 「だって璃音可愛いし」

 「悠羽冗談はだめだよ?」

 私は、笑いながら言った。

 「前も言ったけど本気だよ?」

 ぅ…そんな可愛い顔で言われても。

 「まぁ出ろ。決定」

 「陸玖!」

 「陸玖ぅぅ」

 私の声と被って猫なで声が?

 「わっ華乃!?」

 だ、誰!?

 「陸玖最近遊んでくれないからさぁ~。会いに来ちゃったぁぁ」

 「だからメールしただろ?」

 陸玖は腕に絡まる華乃さんの腕を一生懸命引き離す。

 「そんなの勝手すぎなぁい?」

 それでもまだ離そうとしない華乃さん。

 「悠羽…誰かな?」

 悠羽に小声で訊いた。

 「知らない方がいいかも」

 教えてくれない悠羽。

 「華乃さん、陸玖を離してあげてくぅださいっ」

 にこにこ笑顔の悠羽。

 「わぁぁ、悠羽君だぁ。今日も可愛い~」

 「華乃さんには負けますよ!」

 「そう?」

 華乃さんは、上機嫌で教室を出て行った。

 「ありがとな悠羽」

 「別に」

 悠羽は、うん、可愛い。