少女は。

少女は1人だった。

蒼白く闇を知らない広い世界に少女は1人だった。

その世界には少女1人だけだった。

その世界では自由に飛ぶことができた。

羽根が無くても、風が無くても。

少女は何度も何度も飛んだ。

少女は自慢したかった。

『私は世界を飛べるんだ!』と。

けれど…。

少女は1人だった。

広い広い大きな世界に少女はたった1人だった。

少女は独りぼっちだった。

孤独だった。

少女は…

悲しかった?

寂しかった?

苦しかった?

いくらたくさんの感情が混じっても。

少女は1人のままだった。

少女は…1人。

少女は…

少女は。

泣きたいほどに

悲しかった。