朝、透と待ち合わせていた、いつもの場所に行った。


透は麗の姿を確認すると一人で歩き始めた。

どうして?どうして先に行っちゃうの…悲しくなった。麗は立ち止まった。このまま帰ろうかと思った。


ふっと透が振り返った。透の顔も悲しく見えた。


「チビ麗!そんな事してたら遅れるぞ。俺先行くからな…」


どうして。どうして手を引いて連れて行ってくれないの?透のバカ!もういい…


麗は違う道を通って学校に行った。


次の日から、なるべく透の時間とずらして、違う道を通って…


校内ですれ違っても、目をあわせないようにしていた。わざと透に見せつけるように、他の男子と仲良く話したりもしていた。


毎日どんな事をしていても、想うのは透の事ばかり。もうすぐ透はいなくなる…胸が張り裂けるように痛かった。


「麗…透君…4日後に引っ越し決まったって聞いたよ。麗と透君…別れたの?」


麗にもわからなかった。透が自分をさける感じでいるから…ただ何となく離れてしまった。聞きたくても、今の麗にはそれさえもできなかった。


(透がいなくなる…)