透は麗が痛がる事を知っていたので、一つになっても、ただぬくもりを感じているだけで、柔らかな麗の体を何度も確かめるように触れながら、何度もキスしてくれた。


透が麗を包み込むように横になった。


「透、大丈夫だよ。痛くないから…」


「いいんだ麗、麗を感じているだけで、十分だから」


やっぱり、透の瞳には涙が光っていた。


「透、どうしたの?何かあった?」


麗は、母親が子供の頭を優しくなでるように、透の頭をなでていた。


「麗、俺…ずっと一緒にいてやるって言ったけどできなくなった」

麗は血の気が引く感じがした。


「俺、親父の転勤で九州に引っ越す事になって…」


「う嘘でしょ…」


「ごめんな麗」


「いつ…」


「高校の準備もあるから、早かったら今月末…」


麗は泣き出してしまった。遠すぎる。北から南へ中学生の自分達には、とんでもない距離だった。


「嫌だ!嫌だよ~」


「麗お願いだ。泣かないで。俺だって傍にいてやりたいんだ。でもしょうがないんだ。ごめん」


「嫌だ…よ…」


そういいかけた麗の唇に透はキスをした。透と離れたくない。そんな気持ちが透にも伝わってきた。