「ううん。俺も悪かった。ごめんな?」


「ううん。私も悪かったよ」


「じゃあ、お互い様ってことで。それより、そろそろ出るか?」


「あ……!うん!私、挨拶回り行ってないもん!!」


「?……挨拶回り?」


「そう。私ね、一緒に出演した人のところに、ありがとうございました!って挨拶回りに行ってるの」


そう言ってそわそわする怜美。
きっと、早く行きたいんだろう。


「……怜美偉いな。
尊敬するわ」


怜美が急いでるってわかってるのに、少しでも長く一緒にいたくて、俺はこんなことを言う。


「そんなことないよ。
私が始めたのもマネージャーに言われてからだし」


「それでも偉いよ。俺、そんなの一回も行ったことねぇ」


「まぁ、行く行かないは個人だから。それより、秘密にしといてほしいことがあるんだけど………」


下に俯きながら言いにくそうな顔をしている怜美。