その間にもこの人はあたしに近づいてくる。


嫌………っ!!


そう思うけど逃げることができなくて。


遂にあたしと彼の距離はわずか数センチ。


どうしよう……!


段々顔が近づいてきて、あたしはギュッと目を瞑った。


キスされる……。


そう思うけど、押すことも逃げることもできず。


しばらくギュッて目を瞑ってたけど、キスされる気配はない。


そーっと目を開けると、目の前にドアップの彼の顔が。


唇の距離は何ミリか。
動いたらキスできちゃう距離だった。


「あの………?」


恐る恐る口を開いて彼に問いかける。


「携帯出して?」


「えっ?」


「いいから。出して?」


あたしがポッケから携帯を取り出して彼に渡すと、彼はあたしから離れた。