「元気にしてたよ。お前こそ、元気にしてんのか?」


あくまでも平常心を装い、そう答える。


………本当は、心臓がバクバク言ってるけどな。



『そっか。あたしも元気にしてるよ。

それより、なんで今まで電話に出てくれなかったの?』



いきなりの質問に俺は焦る。


なんて答えたらいいだろう?


俺は、ただそれだけを考えた。



「………ごめん。俺……」


今まで俺は、わざと着信拒否してきた。
不安定な状態で紫織と連絡なんて取っていたら、きっと紫織に頼ってしまうから。


昔から何でも紫織に頼って、自分でやり遂げようとしなかった俺。
でも、アイドルの仕事だけは自分自身でやり遂げたいと思ったから、紫織に頼りたくなかった。