私がモデルを始めたのは10歳のころ。
母親がモデルをやっていたからやることになった。


初めは全然楽しくなかった。楽しいと思えなかった。ただカメラに向かって面白くもないのに笑う。
“こんなことしてて何になるの?”って本気で思ってた。


でも、お母さんが教えてくれたんだ。


『あのね怜美、モデルの仕事は自分が輝くためにやるんじゃない。お洋服を輝かせるためにやるの。
ねぇ、聞いてみて。お洋服の声が聞こえるでしょう?


でも、今のあなたのお洋服は泣いてるわ。全然輝いてない。
それは、あなた自身がこの仕事を楽しんでないから。
だから、全然楽しそうに思えない。お洋服が死んでるような感じだわ』


『でも、面白くもないのに笑うことは出来ないし、お洋服の声もよくわからない。私、モデルやりたくないな』