「はぁ………」


本日何度目かわからない溜め息を漏らす。



「………溜め息吐いたら幸福が逃げていくのよ。知ってる?」


「紫織!やっと来た〜!」



同じモデル仲間で、親友の紫織が控え室に入ってきた。


「何があったの?あんたが溜め息吐くなんて珍しいじゃない」


コートをクローゼットに掛けながら、紫織はそう言う。