奪愛-DATSUAI-

教室に戻ると慎は机にうつ伏せていた。


あたしが席に座ると慎はあたしの方とは逆に、慧のほうに顔を向けた。



あたしはチクッと心が痛んだ。


そのまま何事もなかったように授業が始まっていった。


慎は相変わらず頬杖ついて慧のほうを向いている。


「そんなにじっと見てくるな、気色悪い」


慧が慎を見向きもせずに小さく呟いた。


「俺だって好きでこっちを向いてるわけじゃない。


動けねんだよ」



あたしはその言葉に強く反応した。