好きだよ。
愛してる。
そうやってあなたは、愛の言葉をたくさん囁いてくれました。そんなあなたとずっと…一緒に居られると信じていました。

絋夜が私のそばから消えたのは、4年前だった。
本当に何も変わらないある日。私たちは、ちょっとした小旅行で千葉まで来ていた。お父さんとお母さんにやっとの思いで許してもらったよね。
旅館で2人してのんびりしてた夜。絋夜が突然星を見に行こうって私の腕を引いた。星なんて充分見えるのに。この時の私は、そう考えることしかできなかった。
「ここ。」
息を切らして促されるままに空を見上げた。
…聖域に居るような、妖精を見たような、そんな感覚を覚えた。絋夜は満足げに綺麗だろ、って言ってたような気がする。
見とれていると、絋夜がいきなりキスしてきて…小さく微笑んだ。
「俺…お前を幸せにできてる?」
「え?」
思わず、そう聞き返した。そうすれば絋夜は黙って私を見つめた。黒く透き通った揺らぎない瞳。吸い込まれるような強い視線。
「うん。」
幸せじゃなかったら、なんというのだろう。私は絋夜に沢山の感情をもらった。嫉妬、悲しみ、悔しさ、怒り、嬉しさ――それは全部、幸せと呼ぶのだろう。この上ない、幸せ者だと思った。
「――じゃあ俺、この星に誓う。」
そう言って絋夜は、空に向かって叫び始めた。
「佐伯絋夜、14歳!この世界で一番愛する萩野釉を…この世界で一番幸せにしてやるー!!」
そう叫び、絋夜は満開の笑顔を見せた。なんともいえない気持ちになって、私は涙した。
「うおっ、ちょ、なんで!?」
「絋夜あー…」