「ふぁっふぇふぉんふぁふぁふぃふぃふぁふぃ…」


「…『だってこんな大事な日』、何だよ」


そう言って颯があたしの口から手をどかした。


「…忘れてたんだもん……」


「忘れてたにしろ、忘れてないにしろ、今日こうしてここに来れたんだから良いだろ…」


「…うん」


すると、あたしの目の前にキラキラ輝く宝石が運ばれてきた。


「ごゆっくり」


店員さんが笑顔でそう言い、その場を立ち去った。


「…宝石…」


「は?」


「こんなに綺麗な宝石…初めて見た…」


あたしの目の前には、ずっと食べたかったガト―ショコラがある。


今まで高くて手が届かなかった、憧れのケーキ。


とうとう今、あたしに食べられる時が来た。


きっとこのガト―ショコラもあたしに食べられる日を待ちわびていただろう…。


「いただきます…」


あたしはゆっくりとショコラちゃんを口に運んだ。


「むほっ…!」


「な、何だよ…」


「こんなスイーツ…初めて…」


「そ、そうかよ…」