玄関の方から話声が聞こえる。


「瑠李~!颯くんが迎えに来たわよ~!」


…どうやら颯が迎えに来たらしい。


「ん~…」


あたしは適当に返事して二階に着替えに行った。


制服に着替えたあたしは机の上に置いてあった鞄をとろうと机に視線を向けた時、鞄よりも先にあるものが目にとまった。


「これ…」


あたしはそのあるものを手にとり、驚愕したのと同時に一気に眠気が覚めた。


「わ……わす…忘れてた~!!!」





あたしは今、始業式が終わって、近所で有名なスイーツのお店に来てる。


「お前にとってそんな大事なもん何で忘れてたんだよ…」


「だって…」


「だって何だよ」


「…忘れてたんだもん…」


今日はここのお店のスイーツ半額デーのチケットの締切日。


中でも人気NO.1のガトーショコラだけは絶対に食べたいと思ってた。


いつもは500円なのが今日までは250円。


こんな日はもう二度とこないだろうと思ってたのに…


それなのに…


「何であたしはこんな大事な日忘れてたんだよ!」


あたしがそう言って机を勢いよく叩くと颯が、


「…落ち着け」


あたしの口に手をあてた。