曲が終わる頃に宏樹の
出発の時間を知らせた
仕事自体は2時には終わるらしい
でも先輩に捕まったら
帰ってこれないらしい
「大人しくしてろよ」
荷物を持って立ち上がる宏樹の腕を
掴んで自分の方に引き寄せた
「行ってらっしゃい」
キスをしてそう言った
「行ってきます」
そう言い残して彼は行った
宏樹がいなくなった部屋は
しんみりしてた
タバコの匂いと少しの熱だけ残して
宏樹は行ってしまった
仕事行って帰ってくるんだから
起きて待ってようと思い
あたしはさっきのDVDを
初めから再生して見始めた
時間だけがゆっくり過ぎてゆく
