あたしの愛、幾らで買いますか?

―……


コトコトと鳴るお鍋。

シチューが出来るまで、あと少し。

とても穏やかな時間だった。


「ねぇ、朔羅…」


あたしが‘彼’に

何かを伝えようとした時に、

違和感があった。


「朔羅?」


さっきまでダイニングに

座って微笑んでいた‘彼’が

居ないのだ。


気まぐれな猫のような‘彼’が

姿を消す事は珍しくはなかった。


「…あと少しで出来るのに」


あたしは呟き少しだけ肩を落とした。