あたしの愛、幾らで買いますか?

―カランカラン


彼らが店内から出て行った合図。

急に静かになる店内。

チラホラ居た客も

今はあたしだけだった。

少しだけ居心地が悪かった。

カウンターで作業している

店長らしき女性と視線が合ってしまった。

あたしは気まずいついでに

引きつった笑顔で軽く会釈をした。

それに応えるように彼女は微笑んだ。


「時間は気にせずに
 ゆっくりしていってください」


そう言ってくれた。

あたしは、それに


「ありがとうございます」


と答えた。


一向に震える気配のない携帯を

開けては閉め、

開けては閉め…

そんな事を幾度となく繰り返す。