あたしの愛、幾らで買いますか?

突然テーブルの上においてあった

携帯が震える。

あたしの携帯が震えていた。


【着信 サクラ】


朔羅から電話だ。

あたしは二人に

‘ごめん’の仕草をして

その場を去った。

お店の中で電話をするのは

気が引けたから。


「もしもし」

『あゆ?』

「うん」

『今、何してた?』

「クラスメイトとお茶してる」

『そっか』


今の朔羅の機嫌はいいらしい。

とても優しい喋り方だ。


「朔羅は?今、休憩中?」

『ん~…
 休憩ではないんだけど…
 セット変えてるから
 それで今、少しあいてるんだ』

「そうなんだ…」

『友達と居るんだよね?
 邪魔してごめん。
 あゆの声聞いたら、元気出たわ』

「そう?」


携帯の向こうで彼が照れ臭そうに笑う。

つられて、あたしも頬が思わず緩む。


『また、終わったら電話する。
 そしたら迎えに行くから』

「わかった。
 もし無理そうだったら言ってね?
 終電で家に戻るから」

『おっけー
 じゃ、頑張るわ!』

「はいはーい。
 じゃあね」


彼があたしの声を聞いて

元気が出たように

あたしも、彼の声を聞いて

心が少しだけ穏やかになった。