あたしの愛、幾らで買いますか?

母親との穏やかな時間。

‘親子’というより

‘久し振りに会った親友’

と話をしているようだった。


気が付けば太陽は傾き始め、

真冬の夕焼けが綺麗だった。


「今日は何時くらいに出るの?」


母親が優しく微笑みながら尋ねてきた。

目尻に出来た細かい皺の所為か

とても優しい表情のように見えた。


「多分、夜かな?
 彼が車で迎えに来てくれるって。
 それまで、ゆっくりしてもいい?」

「パパが帰ってきても平気なら、
 ゆっくりしていきなさいよ」


恐らく、あたしの表情が歪んだのだろう。

母親が言ったあと、

彼女の顔から笑顔が薄くなった。

父親の存在は、どうしてもダメだ。

『何が?』と聞かれても困る。

無理なものは無理だ。

会いたくもない。

本当は、そう思っている。


父は母と違って

あたしの決心を聞かずに

力でねじ伏せるのだから。