あたしの愛、幾らで買いますか?

「もしもし」


携帯が震えて、すぐに

あたしは向こう側に居るであろう

彼に声をかけた。


「……」


いきなり黙り込む彼。


「朔羅?」


少しだけ嫌な予感がした。

あたしの手のひらは

じんわりと湿ってきた。


「…おまえさぁ。
 何で電話も出なければ
 メールの返事すらよこさねぇの?」


あたしが嫌いな朔羅の喋り方。

あたしを殴る時の喋り方。


「ごめんなさい…
 今、実家でね
 ママと…」


まだ言葉が続くあたしを遮って

彼は声を荒げる。


「てめぇの家は
 もう、そこじゃねぇだろ」


携帯の向こうでガンと

何かが飛んだ音がした。

きっと彼が何かを蹴ったのだろう。

灰皿とか、

そういう鉄とかアルミ製のものを。