あたしの愛、幾らで買いますか?

「歩美は?元気だった?」


母の問いにコクリと頷いた。

あたしはカフェオレに向かって

優しく息を吹きかける。

湯気がふわりと揺れる。


「今、どこに居るの?」

「……。」

「…好きな人と暮らしてるの?」


少しだけ時間が止まった気がした。

ほんの1、2秒だけど。


「…うん」


母は、あたしの肯定の返事を聞いて

安堵の表情を浮かべた。

少し意外だった。

怒られると思っていたから。


「歩美、少し痩せたね…
 ちゃんと食べてるの?」

「自炊してるよ」

「本当?
 家だと何もしなかったのにね」

「そうだね。
 自分でもビックリ」


あたしは自然と笑っていた。

ぎこちない空気は

少しだけ漂っているけれど、

だけど、

‘今、母と笑い合っている’

その現実が少しばかりくすぐったい。