あたしの愛、幾らで買いますか?

「歩美、開けても平気?」


ふすまの向こうから

母親が声をかけて来る。

あたしはカバンのチャックを閉めてから

ふすまを開ける。


「何?」


久々の母親に

どう対応したら良いかわからなくて、

ぶっきらぼうな言い方になってしまった。


「歩美の好きなカフェオレ入れたから…
 まぁ、インスタントだけどね。
 こたつも温めてあるから、
 いらっしゃい」


今日の母親は

口の端っこがキュッと上がっている。

そんな表情の母親を見るのは

何年ぶりだろうか。


あたしはこたつに足を入れ、

台所では母親が

カフェオレをカップに入れていた。


さっきまで

感覚がなくなりそうだった爪先は

徐々に温かさを取り戻していく。