あたしの愛、幾らで買いますか?

プシューッと開く扉から

あたしは軽やかに降りる。

靴のかかとが音を立てる。


久し振りの地元…

でも、

不思議と特別な思いは無い。

‘愛着’

そんな言葉とは無縁だ。


デニムのポケットにねじ込んでいた切符を

自動改札機に飲み込ませる。

あたしは、そこをスルリと抜けて

タンタンと階段を駆け上がる。


地上に出ると

やっぱりボタボタと降る雪。

もっと静かに柔らかい降り方の雪なら

少しは心も踊るかもしれない。

こんな水っぽい雪は

気分を憂鬱にさせるばかりだ。


あたしは眉間にシワを寄せながら

携帯を開き時間を確認する。


【10:32】


そう表示されている。