あたしの愛、幾らで買いますか?

「次は●●駅。●●駅…」


電車のアナウンスで

あたしは、はっとした。

少しだけ懐かしく感じる駅の名前。

もうすぐ、

あたしが住んでいた…

あの古びたアパートがある街に着く。


あたしはキリっと焦点を合わせて、

目の前に映る自分自身を睨みつけた。


『あたしが帰る場所は、
 ここではない』


そう言い聞かせた。

未練なんて

何もない。

ただ、

父親も母親も他人のフリをするか

それとも、

悪あがきのように『親』の顔をするか

それを少しだけ楽しみにしている。


他人のフリをされたら


「やっぱりな」


と思う。


親みたいな顔をされたら

きっと、あたしは発狂するだろう。


「今更、母親面するな」


と。


どのみち、

彼が居るのなら

あたしには関係のない話だ。