あたしの愛、幾らで買いますか?

掃除も終わり、

あたしは帰りの支度をする。


「歩美ー!」


ガラリと教室の扉を開けて、

理科室の掃除当番だったエリが

あたしを呼ぶ。


あたしは帰り支度が整ったから

カバンを手に持ち、エリの方へとチラリと

視線を向ける。


「歩美、
 今日あのカフェ行かない?」

「…この前行ったところ?」

「うん」


制服のポケットに入っている携帯を

取り出す。

朔羅からの着信もなければ、

メールもなかった。

少し前に彼にメールをした時に


【今年の冬は少し忙しいんだ】


そう書かれていた。