あたしの愛、幾らで買いますか？

あたしは、少しだけガッカリして、

携帯を制服のブレザーのポケットに

しまった。


百合子の前に居る笹井に

違和感を覚えた人物が

もう一人居たらしい。


「歩美…
　あの光景、変じゃない？」

「…ん～」

「得意だねぇ～
　返事濁すの」


唸るように出た言葉に対して

エリが苦笑する。

確かに違和感を覚えたけれど

あたしには別に関係がない。


「別に、興味ない…」

「それもそっかぁ」


そして、エリは

気遣ってくれているのか

あたしの耳の傍で声を潜めて言った。


「歩美には
　大好きな彼が居るもんね」


彼女は、そう言った後に

唇の両端をニッと上げて

目を細めて笑った。


それにつられて

あたしも思わず歯を見せて

笑ってしまった。