あたしの愛、幾らで買いますか?

エリがガラリと教室の扉を開ける。

百合子の席の近くに

数人の男女が集まっている。


‘女王様の手下’


そんなものなんだと思う。

百合子は、その中心で

大きな声で笑っている。


『あほらしい…』


あたしの顔には、

きっと、そう書いてあったと思う。


そして、

あたしは改めて

百合子を囲んでいる人間に

違和感を持った。

ただ一人だけ、その輪に居て

違和感がある人物が居た。


「ねぇねぇ
 笹井くんは、どう思うぅ?」


百合子の輪の中に

居るはずのない笹井が居た。