あたしの愛、幾らで買いますか?

何気なく彼の仕事の話なんかを

探り探り聞くけれど、

彼が何をしているか

サッパリわからない。

気になるけれど、

あたしは


‘隣に彼が居るなら何でもイイ’


自分に言い聞かせるように

まるで呪文のように

心の中で幾度も幾度も繰り返す。


それを無理矢理納得させて、


「そっか。
 歩美は学校だよ。
 学校終わったら電話してもいい?」

『……』


朔羅の沈黙が怖い。

何を言われるか、

最近は予想がつかないから。


『電話出る自信ないけど…』

「じゃあ、
 出なかったら
 仕事なんだなって思っておくね」

『うん。そうして』

「じゃ、
 用意してくるね」

『うん。頑張ろうね』

「はいはーい」


あたし達は、

そう言ってどちらともなく

電話を切った。