あたしの愛、幾らで買いますか?

何であたしが殴られたのか、

よくわからなかった。

でも、

朔羅の言葉を思い出せば

すぐわかることだった。


『あたしが、約束を破ったから』


信号が青になり、

あたし達は沈黙のまま

車は走り続ける。


甘い雰囲気なんてどこにもない。


「…ごめんなさい」


消えそうな声で沈黙を破ったのは

あたしだった。


エンジンの音がやけに

大きく聞こえる。

それだけ静まり返った車内。


あたしの膝の上に置いてある

手に涙がパタパタと零れ落ちる。

痛くて泣いているわけじゃない。

軽い会話の流れでした話を


‘約束’


として覚えてくれていた事が嬉しかった。

だから、

あたしは自分がした裏切り行為に

腹を立てた。

自分を責めた。