あたしの愛、幾らで買いますか?

あたしは言われた通りに

助手席へ回り、

大人しく怯えながらも乗り込む。

右側に居る朔羅の空気が

いつもと違う事、

知ってたけど知らないフリをした。


ひたすら走り続ける車。

行くあてなんか知らない。


いつもと違うのは、

音楽もなく、会話もない。


「ねぇ…」


あたしは思い切って話しかけてみた。

あたしの鼓動が激しい。

隣に居る彼に

聞こえるのではないかと思う。


「今日、忙しかったの?」

「なんで?」


あたしの問い掛けに

彼の言葉はとても冷たく言い放たれた。


あたしは、それだけの事で

また心を痛める。