あたしの愛、幾らで買いますか?

あたしの問い掛けに笹井は

ただ、地面のアスファルトを

見つめるだけだった。

肯定する言葉も

否定する言葉も出てこなかった。


「ねぇ、笹井…」

「ん?」


この壊れそうな心を

あたしは、

どうやって保てばいいのだろうか?


「今だけでいい…
 傍に居てくれないかな?
 笹井…」


思わず目に涙が溜まる。


あたしは

どうして生まれてきたのかな?

どうして温もりが欲しいのかな?


ただただ

涙を流すあたしを

笹井は抱き締めてなんてくれなかった。


だから、

あたしは

自ら笹井の胸に飛び込んだ。

そして、

泣いた。

声を出すわけにはいかないから

震えながら泣いた。