あたしの愛、幾らで買いますか?

「…何もないよ」


あたしが力なく言う。


「じゃ…」


と、あたしが言って笹井の前から

去ろうとしていた時、

笹井があたしを呼び止める。


「安藤」


その言葉にあたしの足は止まり

振り返る。

ようやく彼の目を見ることが出来た。


「最近、よく笑うようになったな」

「…そう?」

「エリも言ってる。
 壁が薄れた気がするって」


壁?

あたしには理解が出来ない。

ただ、

朔羅が隣に居てくれると思うだけで

温かくなる。

その所為かな?


「だけど…」

「何?」

「いや、何でもない」


あたしは笹井が

何を言おうとしていたか

手に取るようにわかった。


「‘今は、前と変わらない’
 そう言いたいの?」