あたしの愛、幾らで買いますか?

フラフラと大通りを歩く。

足は最寄の駅の方へ着実に進んでいる。

時間は…

携帯を開く事すら面倒だ。

スーツ姿の人たちが通り過ぎる。

何人かの人は

あたしを見て振り返る。


駅まで、

あと少しの時に

あたしは腕を引かれた。


「よう」


その問い掛けにあたしは驚いた。


「え?」


一瞬誰だかわからなかった。

きっと、

あたしの焦点が合っていなかった

所為だろう。


「何してんの?」

「笹井…」

「大丈夫か?」


あたしの腕を取った人は笹井だった。

笹井の最寄はここじゃない。

だから、

こんなところに

笹井がいることに酷く驚いた。