―キーン…コーン…


季節はすっかり夏になった。

夏休み目前。

今日も気だるい授業がサラリと

過ぎていった。

定期テストまで、あと少し。


「なぁ、安藤」


机で下敷きをパタパタと扇ぐあたしに

声をかけたのは笹井。

ちょっとだけ様子がおかしい気がする。


「何?神妙な顔しちゃって」


あたしはケラケラと笑いながら答える。


「お前さ…」


笹井が言いかけたところで、

彼はサッと何事もなかったように

去っていく。


「…何よ」


彼は何を言いたかったんだろう。