俺が、時峰月也と出会ったのは中学受験の合格発表日だった。
まだ、寒さが残る時期で、皆が結果に一喜一憂している中、ひどく無表情の少年がいて、それが時峰月也だった。試験に落ちただけだと思った俺の予想を無視して、月也のほうから俺に話しかけてきた。
「合格者はあっちに行けばいいのか?」
「えっ?あっああ、受験表を受付に提出して書類を受け取ればいいだけ。」
「そうか、ありがとう。」
お礼を言った彼のほほ笑みは、どこか遠くを見ているようで、整ったきれいな顔に真っ黒な髪がなびき、まっすぐに俺を見つめた目はひどく遠いところを見ているような気がした。
終業式が終わって外を見ると、外は一面雪が落ちていく様子で埋め尽くされていて、窓からは傘もささずに校門を出ていく月也が見えた。朝、学校に来て具合が悪そうな月也を無理やり保健室に連れて行ったのは俺だった。
教室でのホームルームを終えて、月也の分のプリントをしっかりとカバンに入れて俺は教室を出た。
朝に傘立てに入れておいた傘を開き月也の住むアパートに向かった。
俺の知っている月也がいなくなったのはこんな風に粉雪の舞う、寒い、冬だった―。
まだ、寒さが残る時期で、皆が結果に一喜一憂している中、ひどく無表情の少年がいて、それが時峰月也だった。試験に落ちただけだと思った俺の予想を無視して、月也のほうから俺に話しかけてきた。
「合格者はあっちに行けばいいのか?」
「えっ?あっああ、受験表を受付に提出して書類を受け取ればいいだけ。」
「そうか、ありがとう。」
お礼を言った彼のほほ笑みは、どこか遠くを見ているようで、整ったきれいな顔に真っ黒な髪がなびき、まっすぐに俺を見つめた目はひどく遠いところを見ているような気がした。
終業式が終わって外を見ると、外は一面雪が落ちていく様子で埋め尽くされていて、窓からは傘もささずに校門を出ていく月也が見えた。朝、学校に来て具合が悪そうな月也を無理やり保健室に連れて行ったのは俺だった。
教室でのホームルームを終えて、月也の分のプリントをしっかりとカバンに入れて俺は教室を出た。
朝に傘立てに入れておいた傘を開き月也の住むアパートに向かった。
俺の知っている月也がいなくなったのはこんな風に粉雪の舞う、寒い、冬だった―。
