すると元保は俺の襟に手をかけると




「折れてんのよ、襟が」



そういって、えりを直してくれた。




殴られるはずが、逆にやさしくされてしまった。




身構えていたまま、つい元保を見つづけていると慎也が俺の腰を蹴る。



「ちょ!何すんだよ」



「お前が、俺の芽ちゃんに見惚れてるからだろ!!」




はあ?なにいってんだよ、このばか!



「こんなやつに見惚れるのはお前だけ!」




元保を指さす俺に慎也が嘲笑うかのように息をもらして。




「芽ちゃんの可愛さにはクラス中が共感しているのだよ。こんなに可愛い芽ちゃんに見惚れていないお前は俗にいうB専なのではなかろうか…?」





と憎たらしい顔をして俺をみてきた。

そもそも見惚れるなと言ったのはお前だろうが。



「お前いいかげんに…」


しろよそう言い切る前に顔に押し付けられた手。


「うるさい、どっちもいい加減にして」



俺の顔面を押しのけて元保は呆れた表情を浮かべる。