「…お前、名前何ていうんだ?」
「…へ?」
突然口を開いたかと思うと、耳を疑うような言葉が降ってきた。
その言葉に俺は、抜けたような声を出してしまった。
恭治は聞き返されたことに少し不満を感じたように眉を寄せて、恥ずかしそうに顔を少し赤らめて言った。
「だから、お前の名前何なのかって聞いてんだよ!わかんねぇーのか!」
恭治は声を荒らげてそういって、ふいっと俺から顔を逸した。
その姿に俺は、つい可愛い奴だな…。
と思ってしまった。
多分今恭治に言っても怒るだろうな。
ククと小さく喉を鳴らして笑った俺に、恭治は眉をいっぱいに寄せて「何だよ」という目で俺をみてきた。
「…っ気にすんな」
「ちッ」
笑われたことを不快に感じたのか、恭治は俺に背を向けて去ろうとした。
そんな恭治に俺は慌てて声を掛けた。


