一人悶々と戦っていると、教室から誰もいなくなっていた。
よく見ればもう、時間がない。
「やっべ!次生物だった!」
恭治のやつ、俺を置いて先に行きやがって薄情ものめっ。
荷物を手にとって走り出す、生物教室の前で恭治が悠々と歩いていた。
その背中に、ジャンプして膝蹴り。
恭治の髪の間から見えたシルバーのピアスが光り、俺の右肩は一時間使い物にならなかった。
撃沈。
「あーあ。よく考えたら、俺のじゃない気がしてきた」
「だから、言ってるだろ」
帰り無理やり恭治を連れ、ポテトを手にしてため息をついた。
「俺の近くには眼鏡のイケてる岡っちと、対してもてないと思いきや何気人気のある慎也がいたんだよな…。机間違えたのかなあ…。」
「まあ、そうじゃねぇかもしんねぇけど」
バーガーを食べながら、恭治は言った。


