友野に向けての笑顔ではなかったが、つい口元が緩んでしまう。
お礼をもう一度いってその場を離れようとした時、反対側のドアから元保がこっちをみていた。
やべっ、もしかしたら聞いたのがバレるか?
俺は友野をもう一度呼んで小さく耳打ちをする。
「このことは、元保にも誰にも秘密な」
そういって、俺は逃げるように離れた。
元保は友野たちのところへいくと、笑顔で話題の中に入っていった。
良かった、セーフ?
何にしても情報は手に入れた。
高くつくぜ、慎也よ。
「和希、お前女子と仲良かったっけ?」
机に伏せていた恭治が、顔をあげて俺をみた。
「いや、ただめんどくせぇ事に巻き込まれてただけ」
ため息をついて、椅子に座ると携帯を取り出して慎也にメールを送った。


