教室に戻ると、元保はもう学校に来ていた。
転校二日目だというのにもうクラスの女子と打ち解けているあたり、流石他のやつとは違うなと思った。
慎也はそんな元保を見つけると目を大きく開き、そうかと思うと顔を逸して男子の集まりの中に入っていった。
恋する乙女かよ。
呆れたように笑いながら、さっき言われた慎也の話を思い出していた。
“協力っつっても、そんな大した事じゃねぇよ。お前、結構女子と仲いいじゃん?だからさ、ちょっと元保の事女子に聞いて調べてほしいんだよ。なっ、な。それだけなんだよ!頼むよ!友達だろ!?”
あまりの必死さに笑えてきて、うなづいてしまったのが悪かった。
俺女子とぜっんぜん仲良くねぇよ。
向こうから意味もなく絡んでくるだけなんだよ、鬱陶しいほど。
でも頼まれたらやらないわけにはいかない性分で、授業の合間元保のいない時を狙って、俺は彼女と一緒にいる女子に声をかけた。
「あ、友野。聞きたいことあんだけどい?」
女子でノリのいい友野を呼ぶと、驚いた顔でうんと返事をしてくれた。
「和希くんから話しかけてくれるなんて、初めてじゃない?」
にこっと笑った友野の笑顔は、何故かキラキラしている。


