好きなんて感情はない。


それなのに、親しくしたいと言われても困る。



「じゃ、俺は先いくんで」





あげた手を下ろして、また歩きだす。





俺の後ろで元保がどんな顔をしているか、なんて。





想像もなく、考えもなく。




俺は、俺しか見えてなかった。





学校に着くと、既に慎也がいた。





「よー」




笑顔で俺のところに近づいてくると、俺から荷物を奪い取って机に置いた。




「おお、何?」




「ちょ、相談に乗ってほしいんだけど…」





こそっと呟いて慎也が手で別の場所を指示する。




相談?


能天気な慎也が、相談…。