「何、怒ってる?」
口もとに手を当てて、困ったように呟いた俺に元保は目線を逸すと微かに頬を膨らせた。
「怒ってる」
「何で?」
「だって、和希が私の顔みて笑うんだもん」
何、何でこんなにむくれてる?
それに、元保の顔みて笑ったつうか…。
「お前がちょっと可愛く見えたから、笑ったんだよ」
あ。
そうおもって、口を押さえても時すでに遅し。
え?という声と、元保の視線が同時に俺へとむかう。
「いや、その、なんだ!?え、違う。そういう感じの事じゃねぇーぞ!?ただ、普通にちょっと、あの…」
テンぱるな俺!
どうせ、この言葉に深い意味なんてない!
そう、普通にしとけばいいだけだ!


