「…ごめん、言い過ぎたから。もう、泣くの止めろよ」





頭を撫でて、子供をあやすように背中をぽんと押す。



俺の行動に驚いたのか彼女は少しだけ俺に顔を向けると、くしゃっと顔を崩して今度はさっきよりも大きく泣き出した。



「な、なんでなくんだよ!」



動揺する俺に対して、元保は泣くのを一向にやめない。



「だって…、和希が急に優しくなるんだもん」




小さく聞こえた彼女の声は一瞬だけだったけど、俺の耳に届いた。






優しくなるって…そりゃお前が泣くから…。





そうおもいながらも、何だか笑えてきてははっと笑うと今度は少し怒ったような表情を浮かべて顔を向けた。



「なんで、笑うの…。泣いてるのに、さ。ばあか…」




怒ってるんだろうけどなぁ。




全然怒った顔に見えない。




そんな所が何だか可愛く思えてしまう。