当たれ、当たれ当たれ!
奴は喧嘩慣れしてる。
喧嘩なんて全然したことがない俺が、ましてや目の前が全く見えてない俺が。
そんな俺の拳が、恭治に届くはずがない。
分かっていたけど、どうしても殴ってやりたかった。
そう決して感じる筈がなかった。
それなのに…手に感じるこの重みは何だ?
悲鳴、叫び声、雑音。
その中でたしかに聞こえた俺の頬に拳が当たったときと同じ音。
「…いてぇ」
その声が聞こえた後、大きく響いた怒鳴り声と足音達。
俺の目の前は真っ白になり、意識はそこで途絶えてしまった。
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