恭治の怒りごえが響く。
離れた片手がすぐに上へと上がり、俺はぐっと目を閉じた。
ばきっという音と、頬に猛烈に走る激痛。
「…ッいってぇ」
揺れた視界はいつの間にか恭治から廊下の床に変わっている。
口の中が鉄の味でいっぱいで、じんじんと激しい痛みで目が眩む。
殴られるって…こんなに衝撃があるのか…?
…ちくしょう、立てよ俺…!
殴られっぱなしなんて情けなさすぎじゃん!
ぐっと拳を作り震える手で起き上がると右腕で軽く血を拭き取った。
「…しょべぇーよ。お前こんなもんなのかよ?大した事ねぇー」
そう言いながらも俺の目の前はもうグラグラ。
恭治の顔なんてまるで見えてなかった。
俺は、右手を強く握り締め拳を作ると大きく振り上げた。


