慎也は、望みを託すような目で恭治を見つめた。
恭治は、その視線に気づいているのか気付いてないのか。
一切慎也を見る事なく
「俺も、パス」
と言った。
慎也は椅子から立ち上がるとうおい!マジかよ、おまえらー!と大声で叫んだ。
そのせいで、残り10分というところで職員室から先生がやってきてこっ酷く説教されるハメになった。
自習のシメが説教って…ついてなさすぎ。
結局反省文を書かなければいけなくなり、彼らの目論見は綺麗に塵となった。
しくしくと泣き真似をしながら、反省文を濡らす慎也を横目で見ながら、どうしてこいつには彼女がいるんだろうと本気で不思議に思った。
そして、彼女のできない俺が情なくおもえた。
慎也に悪いんだけど…な。