何も知らないくせに。
大人なんて、結局俺の事考えてないじゃないか。
俺のため?
だったら、「頑張れよ」の一言ぐらい掛けられないのか?
その言葉を貰ったら、俺だってやらなきゃなんねぇーって思うのに。
自分の意志に責任をもつことができるのに…。
沸々と沸き上がる不満。
そんな時に肩に強い衝撃が走った。
いってぇー…。
顔をあげると、「なにしやがんだよ」という目で俺を見下ろす男がいた。
葉山 恭治。
関わるべき男じゃないと分かっていたのに。
俺を見下す目に溜まっていた怒りが爆発した。
何だよ。
全部、全部。
むかつくんだよ!
「…謝れよ」
「は?」
低くつぶやくように言った言葉に、恭治は眉をぴくっと動かして俺よりももっと低い唸るような声を出した。


