俺は、それが母のためだと思ってた。
母の幸せだと思ってた。
母に出来る、最高の親孝行だと思ってた。
だから、頑張って来た。
…だけど、いつからだろう?
気づいたんだ。
母は俺の7つ上の兄と同じようにしたいだけだって。
そして、周りに褒められる事が嬉しいだけだって。
たしかに母の幸せかも知れない。
親孝行だと言えば、そうなるのかも知れない。
でも、じゃあ俺が生まれてきた理由は?
俺は母親の株をあげるためだけに生まれてきたのか?
分からなかった。
このままで良いのか。
だけど、中学に上がってから一番だった成績も順々に下がってきた。
ただ、精一杯した。
部活もやらずに、ただひたすらに机に向かって座っていた。


