恭治はまた険しい顔をさせた後、ビリッと包みを破り俺に張り付けた。
ぴりっと傷んだ傷口。
俺はあることを思い出した。
そういえば、言ってなかった。
「あのさ、さっきはありがとう」
俺のその言葉に、恭治は驚いたように目を見開いた。
そして照れたように首を掻いた。
「あと、これもさんきゅーな」
絆創膏を指さしにこっと笑う俺。
恭治は、小さな声で「…別に」と呟いた。
無愛想な返事だけど、なんかこいつらしい。
そう思っていた俺に今度は恭治が口を開いた。
「…殴って悪かったな…。あんとき、ムシャクシャしててよ…」
真面目な顔でそう言って、謝る恭治。
俺も急いで続けた。
「いや、俺も悪かった。…実は俺も、あんとき腹が立ってて…あんな事言ってごめん」
そう頭を下げる俺を、また驚いて見る恭治。
顔をあげた俺と目が合った瞬間、一緒に笑った。


